現在、社会デザインを志向したワークショップが増加している。しかしその多くの場合、ワークショップ参加者ができるデザインの範囲はオーガナイザーが設計した条件に制約される。何をテーマとして、何をどのようにデザインし、いかに実現してフィードバックを得るかなどといった、社会デザインに求められるメタレベルでのデザインをすることは難しい。もしこのような点にまで参加者によるデザインの範囲を広げると、カオスの状況が生じると思われる。しかし筆者は、ワークショップの設計に論理的構造を導入することで、カオスの発生を抑制できるのではないかと考えている。
次に本稿では、このような仮説の元に設計されたワークショップ事例を紹介する。それにより、筆者の仮説がワークショップ設計に活用可能であることを示す。ただし本稿の時点ではその設計の効果は検証できておらず、今後データを収集し、検証してゆく予定である。