抄録
視覚に障害のある子どもは、日常の生活動作を習得する際に困難が生じる場合がある。前報では、視覚障がい児と晴眼児の生活動作の習得難易度について調査し、習得難易度が高い動作、習得難易度の差が大きい動作、未経験者が多い動作等を明らかにした。本報では生活動作の習得に向け、療育の場で使用されているツールや手法を明らかにするため、療育の現場にて観察及び半構造化面接による調査を行った。療育において使用されるツールを「市販玩具」「手作り玩具」「実物」「一工夫した実物」の4種類のツールに大別し、実物に音や明度差が生じる加工など、円滑な習得を促す様々な工夫を生活動作ごとに分類した。課題として、実物でしか練習できないとされる動作のうち①両手で異なる動きが生じる、かつ空間的な認知が必要な動作は視覚障がい児にとって難易度が高く、その点に配慮されたツールが見当たらないこと、②ファスナーの上下など触察ではその構造の理解がしにくいことが円滑な習得を妨げると考えられること、の2点に着目し、認知的側面に加え、子どもたちの意欲や関心という能動的側面にも留意し、生活動作習得を助ける新たな療育ツールを考案し、検証・評価を行う。