近年,ユーザの価値観の多様化に伴い,様々な仕様の自動車用内装材テクスチャが使用されており,それらをデザインする際には,多様な開発の方向性を考える必要がある.特に視覚評価において,その要求は高まる一方である.
筆者らは,加飾フィルム樹脂仕様のサンプルを含む,多様な仕様のサンプルを用いて,官能評価実験を実施した.その調査の結果,「高級感」および「嗜好」に対し,主に影響を与える因子が「本物感」と「奥行き感」であることが判明した.そこで,今後は「奥行き感」を,物理特性を用いて定量的に扱うことを目指すこととした.
本研究では,奥行き感と物理特性の関係性の解明のために,前報で奥行き感強化が高く,「杢目調」とクラスタリングされた合計8サンプル(木材と加飾フィルム樹脂,図1参照)に対して物理特性の測定実験を実施した.それにより取得した測定データと過去に実施した官能評価実験の官能評価データを用いた分析を行い,「奥行き感」と物理特性の関係を明らかにすることで,今後の開発の一助とすることを目的とする.