抄録
現在私たちはS大学附属病院に通い、「新聞」のような形をした「作品」を作る表現活動と、そこで使用する「表現素材」を看護師長と共にデザインしている。この「新聞WS」は、看護師が「心に残っている看護体験」というテーマで作文を書き、さらに作文を朗読して全員で共有し、グループで「新聞」を完成させる。看護師がこのWSに参加することで、日々の看護体験には「看護の業務」の他に「心象」が存在することが分かった。この看護師の「心象」のことを私たちは「看護のこころ」と呼び、「看護の業務」と共存して看護の仕事が成り立っていると考えている。「看護の業務」そのものは看護実践の記録として看護記録に残されるが、「看護のこころ」は看護記録に記録できず、業務の背後に隠れてしまうのが現実である。しかし「新聞WS」を行うことで、看護師が自分の「看護のこころ」に気づき、他者の看護体験に共感し、仕事の意味や価値を見出して語り継いでいくことの重要性に気づいた。現在S大学では、看護師の成長や思いを引き出す手法として「新聞WS」が有用であると気づき、看護師長たちが自らこの表現活動を運営するようになった。