抄録
本研究では,プラスチックの充填材であるフィラーに着目し,フィラーとしてポリプロピレンに様々な材料を混練することによって,使用に伴って質感が向上するような複合材料を提案することを試みた.まず混練試験機を用いて金属材料粉や和紙繊維,無機材料粉をポリプロピレンに異なる割合で混練した.ついで手動式射出成形機を用いてそれらを卵型形状に成形し,サンプル表面の片側のみをサンドブラストを用いて研削した.作製したこれら計68種類のサンプルを対象にSD法を用いた被験者を用いた印象評価実験を行い,得られた結果に因子分析法を適用した.その結果,3つの因子:新品感,硬軟感,派手さ感が得られ,それらの累積寄与率は85%となった.また得られた因子得点から樹脂とフィラーを混練することで,その質感の印象が変化することが確認できた.ついでサンプル表面を耐水ペーパーや研磨剤,皮脂模擬液を用いて処理し,処理の前後における印象を比較した.その結果フィラーの種類によって印象変化の程度が異なること,なかでもアバカ紙をフィラーとしたサンプルが,新品感と硬軟感の印象に最も大きな違いがあることが判明した.