抄録
本稿では、大学で1年間行われたPBL活動を題材に、探索指向PBLについて議論する。まず、従来の解決指向PBLに対して探索指向PBLの違いを比較して、そのポイントの整理を行った。次にその考え方をもとに多世代の交流を発生させる移動式ものづくりワークショップのプロジェクトを組織し、川崎市多摩区の公園を中心に、1年間(2017年4月~2018年1月)の活動で、5回のものづくりワークショップを実施した。仮説を探索していくプロセスには、小さく始めて成長していくリーンスタートアップのモデルを適用し、プロセスをコンパクトにして回転数を上げた。学習者達はワークショップを繰り返す度に、誰と誰の間に、どの程度の交流を生み出すのかを問い続け、当初素朴な期待にすぎなかった仮説を精緻化していった。次にプロセスの観察を通して、それらの活動と学びを成立させているデザイン環境を考察を行った。環境を構成する要素として、7つをあげ、結論として、不確実な状況に対処するために、自分たちのアクティビティを通して新しく仮説を発見する探索的な態度の重要性を指摘した。