抄録
本報告では、新しい顧客体験の考案・事業化と併せて企業内へのデザインプロセス定着を目指すプロジェクトにおけるワークショップで、デザインを専攻する大学生が果たした役割を通して、参加型デザインで参加者がフラットな関係を構築するために必要な要素を検討する。本プロジェクトは、多様な関係者を巻き込むチームづくり、都市と地方の生活・文化を実感する複数の活動拠点、作りながら議論することを重視し、企業の従事者だけでなく、情報デザインやサービスデザインの従事者や研究者、看護研究者、デザイン系学生などで参加者が構成されている。本報告で取り上げるワークショップでは、非日常な空間(銭湯)で、様々な立場のメンバーが参加し、サービスプロトタイピングを実施した。このワークショップでは、デザイン専攻学生が、ファシリテーターと参加者の中間的立場として振る舞うことで、メンバーたちが年齢や社会的立場の違いを超えて活発にアイデアを生成しようと活動していた。デザイン専攻学生のような、ファシリテーターと参加者の中間的な存在が参加することでフラットな関係が構築でき、参加型デザインワークショップが活性化されることがわかった。