抄録
現代人は目新しいものやメディアに取り上げられるものにばかり注目し,すぐに興味が移り変わってしまう傾向にあるといわれる.本研究の目的は,物事に深入りする面白さを示す一例として円周率を取り上げ,その視覚化作品の制作を通じ,得られた知見をまとめることにある.試作段階では,自分なりの切り口で円周率を表現していくことで,興味を引く表現を検討した.作品を自己評価し,改良をくり返すことで試作を進めた.自己評価については,基準となる項目を「独自性」,「円周率らしさ」,「意味深長さ」の3つに定めた.試作と他者評価を経て,円周率の本質である比を表現することが,面白さにつながるのではないかと考えた.本制作では,円周率の本質を明確に表現することを目標とした.まずは静止画を制作し,次に,よりわかりやすくするため,静止画をもとにして動画を制作した.ここで,どのような作品が本研究のねらいを達成できるのかを把握するため,制作した動画について評価実験をおこなった.実験結果より,円周率への興味を引く動画を制作するための手がかりを得た.最終的に,試作も含めて,作ってきたものをまとめた動画を制作した.