体力が衰えた高齢者が、より長きにわたり椅子を使用してもらえることを目的として、特別養護老人ホーム入居者の椅子座位において課題となる事例と、そのデザイン的対策について考察した。その結果、高齢者の椅子座位の問題点は、「骨盤後傾と膝関節の屈曲」「小柄な身長」「体幹の筋力低下」「円背」が中心であった。この課題解決に向けた椅子のデザイン的な配慮事項として、「適正な座面高と奥行」「膝関節屈曲への対応」「背傾斜調整と坐骨前方支持」「背形状調整」を提案した。また、具体的な開発事例として、適正サイズと膝関節の屈曲を考慮しつつ、姿勢の安定と起立補助に配慮した電動式ティルトチェアなど、計4製品を示した。