日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
選択された号の論文の231件中1~50を表示しています
  • 新井 竜治
    セッションID: A-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    1921年創業の横浜のカザマは近現代日本の代表的籐家具メーカーの一つである。戦前は横浜で製作して、神奈川県内を商圏としていたが、戦後1960年代初頭以降、籐の原産地に近い、香港、台湾、フィリピン、インドネシアの提携工場で生産する仕組みを整え、国内では営業所網を日本全国に展開した。また直売店マダムロタンを設立してフランチャイズ店網を構築した。また直販及び特注籐家具営業をするヨコハマアールロタンを設立した。カザマの籐家具には、欧米各国の伝統的デザインの影響が見られる。また国内同業他社との競合により、モダンデザインの影響も受けた。戦前期のカザマの籐椅子の骨組みは竹材、座枠は木材、巻き・編みは皮籐であったが、戦後期の骨組みは太民籐材になった。

  • 遠藤 和磨, 白石 照美, 阿部 眞理, 森岡 大輔
    セッションID: A-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    近年、度重なる震災を背景に室内防災の考え方が必要とされている。そこで、本研究では、特に家具転倒時のダメージを軽減する家具の構造を見出すことを目的とし、タケ材の弾性を活かしたフレームとカゴ状の収納パーツを組み合わせた4段構成の収納家具を提案した。水平方向には垂直支持材を挟む形でタケ薄板合板を2重に配し、外周に対して弾性を持たせることで転倒・衝突時のダメージ軽減を図っている。試作した2つのシェルフに対して振動実験を行った結果、比較的低い周波数帯で防振効果を確認でき、円筒形では震度減衰効果も確認できた。また、重心計測を行った結果、いずれも1段目の中央あたりに重心があり重心が低い構造であることを確認できた。

  • デン ナ, 阿部 眞理, 白石 照美, 森岡 大輔
    セッションID: A-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    近年,プラスチック製品の大量生産や廃棄が,環境汚染や人体へ悪影響に及ぼすことから “Plastic-Free Life”運動の高まりがみられる。本研究では,内装材や室内用品に用いる材料を自然材料に置き換えることによって樹脂量を減らすことができると考え,まずは,針葉樹やタケ材などによるシート状自然材料の性質を把握した。その結果,通気性や引張り強さ等に優れる,あるいは肌触りのよい自然材料があることが明らかとなり,各性質を活かした家具デザインへの応用の可能性を見出した。

  • 大久保 恭利, 阿部 眞理, 白石 照美, 森岡 大輔
    セッションID: A-04
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    木製家具は使われている木材料が重いため、家具自体も重い。このため、近年発生した大きな地震では家具が原因となった怪我や死亡例が多く報告されている。本研究では、軽量な木材料を開発することで転倒時のダメージを軽減する家具をつくることとした。軽量化する方法として、針葉樹によるラミネーテッドウッドを作製し、曲げ強度試験、接合強度試験を実施した。その結果、スギまたはヒノキにスプルースを積層したラミネーテッドウッドが、既存のラミネーテッドウッドに比べ、各強度を確保し、比重が軽くなることが明らかとなった。今後は、針葉樹によるラミネーテッドウッドを用いた家具を試作し、耐衝撃性試験等を実施する。

  • 滝本 成人
    セッションID: A-05
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本研究は車椅子クッションの座り心地評価を試みた。14種類のクッション材を用いて心理評価実験と体圧分布測定を行った。心理評価実験ではSD法を用いて、健康な男女20名の被験者に12項目の心理評価を依頼した。体圧分布測定は20mmHg毎に設定し、それぞれのクッション材の全体面積・最大圧力・平均圧力を測定した。次にクッション材の各帯域面積を考察した。

  • 宮川 成門, 藤巻 吾朗, 山口 穂高
    セッションID: A-06
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    体力が衰えた高齢者が、より長きにわたり椅子を使用してもらえることを目的として、特別養護老人ホーム入居者の椅子座位において課題となる事例と、そのデザイン的対策について考察した。その結果、高齢者の椅子座位の問題点は、「骨盤後傾と膝関節の屈曲」「小柄な身長」「体幹の筋力低下」「円背」が中心であった。この課題解決に向けた椅子のデザイン的な配慮事項として、「適正な座面高と奥行」「膝関節屈曲への対応」「背傾斜調整と坐骨前方支持」「背形状調整」を提案した。また、具体的な開発事例として、適正サイズと膝関節の屈曲を考慮しつつ、姿勢の安定と起立補助に配慮した電動式ティルトチェアなど、計4製品を示した。

  • 李 昀叡, 佐藤 浩一郎, 寺内 文雄, 須田 高史
    セッションID: B-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本研究では、プラスチックの長期使用を促進するために、フィラー(充填材)として天然有機材料を複合し、プラスチック(母材)に香りを付加する手法で質感向上を検討する。具体的には,熱可塑性樹脂の一つであるポリプロピレンに香りを有する天然有機素材をフィラーとして複合し、射出成形のサンプルを作製し、香りの有無の条件ごとにサンプルを用いて印象評価実験を行った。その結果、香りの有無が印象評価結果に少なからず影響を及ぼすしていることが確認できた。

  • 北 雄介, 中小路 久美代, 山本 恭裕
    セッションID: C-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    我々の社会では、多数のデザイン行為が連綿と行なわれ、多数のものごとがデザインされている。それらは互いに影響しあい、多くの人との関わりあう中で、時間的に変化したり、空間的に広がったり、あるいは消えていったりしている。こうした諸事象の総体を、「デザインの現象」(design phenomena)と呼ぶことにしよう。本研究はデザインの現象という複雑な対象を、鳥瞰的な目線で理解することを目的としている。我々の社会で起きている実際のデザインの現象を、豊富なデータを元に、時間の流れや空間の広がりを表現できるかたちで、記述し、また分析したい。

    ;

    ;本稿では、実際のデータを元にデザインの現象の研究を進めるための基礎となる、研究方法論を展開する。まず、デザインの現象の研究に際して筆者らが取るべき研究態度について述べる。次に、デザインの現象の理解のために構築した、基本的な理論モデルを提示する。デザイン行為などの出来事に着目するイベントのネットワーク、デザインされたものやデザインの主体などの要素に着目するオブジェクトのメッシュワークという2つのモデルである。そして最後に、それらの態度や理論モデルに基づいた研究の展望を記す。

  • SU CHANG, HAN YING, WEI JUN, CHANG BING
    セッションID: C-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    ディスクホイールは車両の主要部品であり、車のエクステリアデザインや空力とって重要である。本研究では、8種のホイールデザインに対して、SD法の5段階尺度によってそれらの知覚的印象を評価させた。それらのホイールデザインに対する主成分分析(PCA)によって得られた結果は、車のエクステリアデザインの特徴に適合し、被験者の嗜好傾向を大いに満足させるものであった。本研究によって、ホイールデザインの知覚的印象の指標がより明確になった。これは数学的統計学を応用すれば、ホイールデザイン選択の信頼しうる基礎を提供できることを示すものである。本研究は、様々なブランドのホイールデザイントレンドの探究に対する合理的な提案となるであろう。

  • 中園 唯, 青木 幹太
    セッションID: C-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    ワークショップは、実施する文化芸術機関が増えるなど社会・教育面における重要性は高まっている。反面、分野を横断して共通する方法や手順などの枠組みが見い出しにくいという指摘もあり、分野を横断したワークショップの枠組みを明確にすることは、これからの課題である。本研究では、筆者が実施したワークショップから、ワークショップの方法や手順を考える枠組みを検討することを目的としている。

  • 酒井 章
    セッションID: D-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    日本における産業インフラと働き方の実態との間のギャップによって様々なひずみが生まれている。その結果、自組織や自社で変革を起こそうとする社会人は限られている。こうした認識のもと、「先見の明」のある人財を、自組織(自社)や社会にとって意味のある変革を自律的に行う人と定義する。面接調査と分析に基づき、先見のある人財が生まれるプロセスとメカニズムを提案する。

  • 小早川 真衣子, 須永 剛司, 伊集院 幸輝, 西村 拓一
    セッションID: D-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    私たちが行う仕事は、その時々の状況に合わせ、都度判断する臨機応変さを求められる。こうした教科書やマニュアル通りにはいかない仕事を支援するためには、ばらばらの作業に相互の関連をもたせそれを遂行する、動的な仕事の組織化への支援が重要となる。 AI技術研究開発においては、支援対象とする業務における認知的側面を作業知識として抽出・整理し、その技術システムとして実現が目下の課題となっている。これらのテクノロジーをうまく利用するには、仕事を整理するための道具として具体化する必要がある。そこで、本研究では、介護分野と工学・設計研究分野が連携し、知識技術の活用という未来のコンテキストを共に形づくることに取り組んだ。 本稿では、この共創プロジェクトの展開と、考案した介護現場の作業の見える化と仕事の組織化を実現する仕組み「Care Dignity」を報告する。

  • 原田 泰, 元木 環, 横溝 賢, 宮田 義郎, 上芝 智裕, 三野宮 定里
    セッションID: D-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    筆者らは、社会実践型デザイン・ラボというプロジェクトを立ち上げ、デザイン実践を続けている。社会実践型デザイン・ラボは、地域コミュニティというリアルな現場に入り込んでいくデザイン・アプローチで、デザイン実践、デザイン研究、デザインの学びを分離せず、一つの体系として循環させていく活動である。プロジェクトメンバーは日本デザイン学会特集号という冊子メディアを利用して、本プロジェクトのコンセプトと成果を報告することを計画し、実行した。コミュニケーションを重ねることで、コンセプトメイキングから編集・発行までを実現することができた。本稿では、冊子編集のプロセスに焦点を当て、どのような共創の機会を経て、プロジェクト報告が形作られてきたかを報告する。この冊子編集プロセスも共創型デザインであり、その内容を語り社会に発信することは、関係者の責務と考える。編集の過程を振り返り、時間順に説明してみると、計画を確実に実行するような工学的なモデルではなく、対話の内容や文脈によって柔軟に変化させながら成果物を生み出す、デザイン的なモデルの存在が明らかになった。

  • 両角 清隆, 長崎 智宏
    セッションID: D-04
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    デザインにおいて、ユーザーの課題を解決するために、デザインの一連のプロセス(A調査・分析 B創造的解決策検討 C稼働モデル制作 D検証・改良)を実行する 。その時、本質的な要求に対してどのようにプロトタイピングを行って検証し、改善をするかは、デザインの質そのものに影響する。しかし、創造的解決につながる新しい技術を学び応用することは簡単ではない。

    ;この課題に対して、本研究の結果から、デザイン初学者に対するプロトタイピング導入教育において、次の内容の有効性が確認できた。

    ;(1)デザイン対象との関連でWeb技術等を教えることは、理解を促進することに有効

    ;(2)学生同士の学び合いは、対象の内容の理解やモチベーションを上げること有効

  • 渡辺 衆, 田丸 恵理子, 大谷 千恵
    セッションID: D-05
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    タブレット型ツールの操作性において、メディアとデザインの影響力は大きい。研究の目的は、タブレットによる議論支援ツールを最適化するために、メディアとデザインの利点の調査である。本ツールの特徴は、持ち運び可能なサイズに加えて、制御時間と議論工程をリルタイムに表示できることである。被験者は文系学生13人で、GUIの改善前後に観察とアンケートを実施した。その結果、全体工程を示すバーを上部に表示し、親しみやすいイラストと音声を追加することが効果的であることがわかった。また、各工程の制限時間とスキルのヒントを提供することで、学生は議論に集中できることがわかった。教員は、時間進行管理の指導ではなく議論の質を高める指導に集中できた。このように、ツールのデザインは、学生の議論と学習の質に好影響をもたらした。

  • 三野宮 定里, 原田 泰
    セッションID: D-06
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本研究では北海道森町にある製材会社をフィールドに、場担当者の目線で様々な業務を体験、理解し、必要と思われるシステムのプロトタイピングを通して、将来の企業ビジョンや業務のあり方の可能性を示すような活動支援システムの提案を行った。筆者らは製材会社の職場に長期間にわたって滞在し、現在の人々の営み、使用しているツールと人のかかわり、図面と実際の木材加工の対応、各業務の専門性や技術などを観察し、これらの特徴をつかんだ上でアプリケーションの試作を行った。製材会社が抱える高い専門的な知識をツールに落とし込むためには社員との密なコミュニケーションが必要であったが、製材会社は北海道森町、第一筆者は京都府京都市、第二筆者は北海道函館市に活動拠点をおいていたため、長時間、高頻度なコミュニケーションは難しいという課題があった。そこで「かたちにして試す」アプローチをとり、未完成ながらもまずは簡単なアプリケーションを試作し、共有することを行なった。結果、デザイナーは専門的な知識を聞き出し、プロジェクトを漸進させることができた。本実践により遠隔コミュニケーションのおけるプロトタイピングの有効性が示唆された。

  • 安井 重哉
    セッションID: D-07
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    著者の所属する公立はこだて未来大学(以下、本学)は、地域貢献に資する研究の柱としてマリンITを研究の重点領域に指定している。マリンITとは、ITの導入による持続可能な沿岸漁業(IT漁業)に関する取り組みの、本学における呼称である。

    ;著者は、このマリンITの様々なシステム開発に情報デザインの専門家として参画してきた。本稿は、1章で本学がマリンITに取り組む意味について考察する。そして2章では、そのケーススタディとして、島根県海士町のイワガキの養殖漁業者をパートナーに開発したiPadアプリケーション(以下「本アプリケーション」と記述する)のデザインプロセスとUI設計について記述したのち、3章で大学でデザインを研究する者がフィールドでデザイン実践を行うことの意味について論じる。

  • 中島 郁子, 井上 智博
    セッションID: D-08
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    デザインプロジェクトにおいて、参加者全員の「共感」は極めて重要である。しかし、実際の現場と従事者間には各種コミュニケーションギャップが次々に発生し、誤解やミス、軋轢などマイナス要因だけではなく、魅力的なシーズや課題解決策などプラス方向すら気づかないことも多々ある。このことは、地場産業ではより深刻である。デザイナーの役割は限られ、先方のリクエストと最適解が異なったとしても、少人数・短納期・低予算の中で、より良い解決策を提案する余裕はない。人手不足・職人の高齢化・関連業種の廃業など、地域課題も大きな影響を及ぼしている。これらの問題に対峙するために、各自のニーズ・シーズ・スキル・課題などを知った上で現場の人々の間に立ち、共感を喚起してきた。中でも「デザイン言語」「製造現場言語」の同時通訳はたいへん有効である。20年来のクライアントに潜んでいた、新しい課題の掘り起こしにも成功した。メーカーからの要請は最終製品でも試作でもなく、生産管理と製造工程における「カイゼン」のプロセスデザインであった。ここまでの経緯と、新プロジェクト「デジタルファブリケーション技術による補助具デザイン」について解説する。

  • 劉 嬌, 柿山 浩一郎
    セッションID: D-09
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    近年、人工知能(AI)に関する技術が発展している。人工知能の技術の中で、音声インタラクションは重要な技術であり、音声インタラクションの発展は新しい時代に突入している。その中でもスマートホームは、音声インタラクションの利用が想定される未来の生活の場と考えられるが、課題が散見されると本研究では考えた。

    ;具体的には、高齢者にとって電子機器の活用が難しいことは変わりの無いことであるが、音声アシスタントについても、高齢者向けの配慮はされておらず、高齢者の音声アシスタントの使用率は非常に低いと考えられる。

    ;このような問題を解決すべく本研究では、高齢者を対象としたスマートホームでの音声インタラクションにおいて、視聴覚情報をどのように高齢者に提供するのが適切なのかを明らかにすることが重要と考えた。高齢者の音声アシスタントの利用時に、よりよいスマートホームのユーザー体験を提供することを目的として、音声アシスタントの要素を研究することは、社会的、学術的に意義のあることといえる。

  • 鞠 潤亨, 岡崎 章
    セッションID: D-10
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    人の感情は言葉だけで説明することは難しい.実際に医療現場では患者の負の心理を評価するには5段階評価やフェイススケールに頼る[注2]ことになるが,いずれも用意されたものから選ぶ方法である.そこで,患者のネガティブ感情を数値化,可視化し表現しやすくできれば,患者に対する適切な処置が可能となるはずである.

    ; 本研究では既存の評価方法より効果的に負の感情が表現できる感性評価ツールを開発することを目的とした.新たな感性評価ツールとして5つのパネルで構成した身体比率を持つオブジェクトを制作した.また,パネルの間の角度を数値化した.

    ; ツールの有効性を証明するためアナログツールの実験とデジタルツールの実験を行った.その結果,従来の5段階評価より有効であることが明らかになった.評価の平均タイムは5段階評価より大きく上回ったことで被験者が気持ちを込めて表現しようとすることが分かった.今後の課題として年齢によるオブジェクトの比率変化などの要素を追加し負の心理評価ツールとしての精度を高めるためのデザイン要素・構成要素を明らかにすることを目的とした実験を行っていく.

  • 木村 篤信, 原口 悠, 山内 泰, 松浦 克太, 野口 真美, 林 瑞恵, 梅本 政隆
    セッションID: D-11
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    包括的な社会課題解決に向けて,住民,自治体,企業が持続的に協働するリビングラボの研究に取り組んでいる.そのリビングラボの課題として,住民の主体的な参加の難しさがある.本稿では,住民の社会参加と企業のサービス開発に向けた仮説探索の二つの目的をもってリビングラボプロジェクトを試行した.得られた結果より,住民が主体的に暮らしを考える機会を生み出す実践知を報告する.

  • 瀧 知惠美, 富田 誠
    セッションID: D-12
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本研究は、デザイン活動における自分らしさを発見し、他者へ伝えられるようになる方法を見出すことが目的である。自分らしさは、自分自身では無自覚で気づきにくい。そこで、他者との対話を通して自分らしさを発見していくアプローチとして、二人称的アプローチを活用したデザイン活動のふり返りに着目する。本稿では、2019年8月に東海大学で行われた夏期集中授業で実施したワークショップの事例を取り上げる。本事例における作品の制作過程をふり返る方法の特徴は、4つのふり返りの問いで制作過程の試行錯誤を抽出すること、自分の試行錯誤を語り他者の試行錯誤を聞く省察の対話を行うことの2点である。他者との省察の対話により、他者のデザイン体験の中に自分のデザインへの取り組み方と異なる予想外の思考や行為を見出す。それを相手のデザイン活動の「らしさ」として、言語化して伝える。この行為は、聞き手の視点で語り手の「らしさ」を言語化していると同時に、聞き手自身の「らしさ」の発見という2つの意味をもつ。このようにデザイン体験の語り手と聞き手を両方経験することで、デザイン活動における自分らしさについて理解を深めていくことができる。

  • 三河 侑矢, 佐藤 あみか, 佐野 弥詩, 樋口 涼佳子, 中者 睦望, 横溝 賢
    セッションID: D-13
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    筆者らはこれまでに、北海道札幌市南区にある石山緑地公園とその周辺地域を在りのままに感じようと気楽な態度で散策し、それらの経験の省察から現場の存在価値を理解するまでの〈学びのプロセス〉を体系化した。我々はこれらの活動で「今までに知っているデザインと何か違うかも」「現場への入り方は世界の見え方の変化をもたらすのか」というデザイン活動の過程での知のはたらきを明らかにし、日本デザイン学会令和元年度秋季企画大会学生プロポジションにて発表を行った。筆者らは秋季大会の後、活動の続きとしてアトリエで知のはたらきの構造化を再度試み、そこから自分たちのわかろうとしたことを石山地域に戻って住民に伝える場づくりを行った。本稿ではその場づくりまでに至るデザイン活動を考察する。

  • 梶原 千恵
    セッションID: D-14
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本研究はアート/デザインを通したインクルーシブ防災システムの構築を目的として、東日本大震災後に自身が実施したアートプロジェクトを学習環境デザインの観点から検証する。理論的枠組みとしてアクターネットワーク理論を参照し、アートプロジェクトを導いた社会・技術的アレンジメント(人、人工物、装置の配置)とエージェンシー(行為主体性)を分析する。対象とする事例は「まねきの家壁画プロジェクト」(2013年)と「カオパネ制作隊」(2014年)である。その結果、2つのプロジェクトを導いた社会・技術的アレンジメントは震災伝承物やクリエイティブな市民団体が重要な役割を果たしたことが分かった。さらに、自閉スペクトラム症の中学生が学校外のプロジェクトで主体的に活動できるエージェンシーを発揮した。今後、防災教育を進める上でアート/デザインを通したコミュニティ形成が欠かせないと結論付けた。

  • 伊藤 汰地, 安井 重哉
    セッションID: D-15
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    この研究は、創造性研究のケーススタディです。創作における発見とはどのようなものか明らかにするために、発見を伴う創作を支援するためのツールを設計し、設計したツールを使用した創作の様子を観察しました。筆者はケーススタディとして、模様の創作を取り上げ、発見を伴う創作を支援するために、基本となる模様を重畳させることによって新たな模様を創作する方法に着目した。最後の観察では、創作を支援する環境だけではなく、創作者自身が、目の前で見えている模様に対して意識して何かを解釈しようとするメタ的な態度が発見を伴う創作を行うためには必要であり、その結果得られた視点を持って、さらなる発見が行われること(解釈量と発見の関係)が明らかとなった。

  • 横溝 賢, 堀内 幸呼, 渡邊 喜紀, 皆上 伸, 森 佳正, 森 花子, 中島 郁子, 沓澤 希実佳
    セッションID: D-16
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    人口減少により流通インフラの脆弱化が進む地方では地域資源を分散的に活用することにより、自立した暮らしを形づくっていくことを模索している。青森県は農林水畜産業が広く展開され、自給率115%の地域である。この数字がどういう意味もつか。それは私や住民が日常的に見ている山と海に囲まれた風景は、一次産業を営む人と自然の不安定な支配関係によって形づくられているということだ。この不安定な関係を知ることから、自らが住む地域の持続可能性を考えることができるようになる。しかしながら、近代科学に支えられた今の私たちは、こうした世界を見る目をもち得ていない。

    ;このような背景から、私はデザイン学生と共に青森県三戸郡新郷村に出向き、山の人びとの営みに加わり、山のある暮らしの話を聞き、学んで視ることから絵本を制作する授業をおこなってみた[注1]。本稿では、人でないものと自然の複雑な相関を内包する山というはかりしれない対象を見ようとする活動が、学生の絵本制作にどのような影響を与えたのかについて考察する。

  • 何 乃馨, 杉下 哲
    セッションID: E-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    子どもは大人へと成長する過程で、様々な思い出ができる。私 は、これらの思い出は子どもにとって、自分だけが持つオリジナルの「物語」と考えている。それらが生まれる空間は、子どもを 豊かにすると考える。本研究では、物語が生まれる空間づくりに向けて、子どもの主体性を高め、子どもと一緒に成長できる家具を提案する。子どもは、余白を残した家具を自らデザインすることで、自分らしく作り上げるように促され、主体性を高めながら成長する。その中で、様々な思い出による「物語」に満ちた空間をつくることを研究する。

  • 日下 真緒, 加藤 文俊
    セッションID: E-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本研究は、「ゲーミング・シュミレーション」を使用したワークショップをとおして、参加者と共に「公立校」の新しい見方を考えることを目的とする。 近年の学校や学習環境の「良さ」は、プログラムの新規性やサービスの充実をとらえることに意識が向けられがちである。特に旧来から制度上画一的な公立校において、教員や子どもたちによる語りや、日常体験などは焦点が当てられにくい。また昨今では、日本の教育制度・政策全般への不信や、通学区域内の公立学校のカリキュラム、学校成員に対する不満を理由に、義務教育段階の公立学校を忌避する現状を指す「公立不信」や「公立離れ」といった言葉もある。しかし、公立校的な学習環境や学び方は、子どもたちや指導者にとっていかなる影響を与えているのか。多様な教育現場の実態を観察・記録し、公立校のポジティブな側面を言語化、形式化することはきわめて有意味である。本研究では、第一著者が公立小学校や学習支援施設でフィールドワークを行いながら「公立校的な学び」の意味を理解し、他者へ共有することを目指す。成果は「ゲーミング・シミュレーション」という形式でデザインし、その実践プロセスを評価する。

  • 相澤 康智, 田邉 里奈
    セッションID: E-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    現代社会では、共働きの世帯が専業主婦世帯より年ー増加傾向にある。それに伴い、子どもと接する時間に大きく影響を及ぼすのではないかと考えられる。そこで、本研究では小学生の子どもを持つ家庭を対象に、コミュニケーションをサポートするための仕組みを検討してきた。子どもが親に対して本当に伝えたい思いと親が子どもについて知りたいことを対象に親子のコミュニケーションを向上させることを目的としたコミュニケーションのサポートツールを検討した。

  • 若林 尚樹, 佐竹 希里, 政倉 祐子
    セッションID: E-04
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    この研究は、より主体的な体験の効果が期待される動物の特徴的な動作に着目した「やってみる」の工程を組み込んだプログラムとし,この工程を実施した場合と実施しなかった場合の比較を気持ち温度計による分析によって行なった.その結果,プログラム全体としての評価は、この工程を実施したプログラムの方がより高い学習効果が得られた可能性を示唆していると言える. また, それとともに難易度については観察ありの方がより高い値を示しており, 簡単ではなかったと感じる参加者が多かったこことがわかった.このことからワークショップでの課題は, ある程度参加者にとって難しいと感じる内容である方が達成感をより高く感じる傾向があるということができる.

  • 政倉 祐子, 若林 尚樹, 田邉 里奈
    セッションID: E-05
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
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    本研究では、子どもを対象としたワークショップとその評価を実施した。ワークショップは、動物の顔型バイザーの制作を通して動物の生態について学習するためのプログラムであった。参加者は、評価ツール「気持ち温度計」を用いてワークショップでの工程ごとに参加者自身が感じた印象のて程度を評定した。その結果、本ワークショップのプログラムにおいて動物を観察する工程の有無の効果について特徴的な傾向を明らかにした。また、評価ツールの今後の改善点についても議論する。

  • 禹 在勇, 熊谷 晃
    セッションID: F-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    長野県は「長野県営業本部」を昨年立ち上げた。その目的は「本県の農林水産物及び同加工品、伝統工芸品等の県外販路の開拓・拡大に向けた営業活動、情報発信等を実施し、生産から販売まで一貫したマーケティング支援体制を構築することにより営業力と発信力を高め、本県の『稼ぐ力』と『ブランド力』の向上を図る」ことである。これまでの行政は販売を支援することが少なかったと言えないだろうか。長野県営業本部は一体的な生産と販売を実現することで、この現状を変えようとしている。農業の生産力は徐々に落ちているが、これからは購入者の要望に向けて少量でも高品質なものを作るといった新しい型が期待されてもいる。これは、従来のブランディングの精度をさらに高めるものである。

  • 陳 誼菲, 土屋 篤生, 宮田 佳美, 植田 憲
    セッションID: F-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    今日の日本においては、伝統的なものづくりの価値が十分に認識されずに潜在化・消失する傾向にある。本稿は、伝統的打刃物の特質の記録・分析に基づいて、千葉県における伝統的鍛冶文化にみられる人びとの関係性を明らかにし、概略を報告するものである。伝統的打刃物の材料・燃料の調達、製作や流通は、かつてから今日に至るまでどのように変容してきたのかを記録し、得られた結果に基づきステークホルダー分析を行った。この分析に基づき、以下の結論を得た。地域社会において育まれた生活の知恵は、鍛冶職人を通して打刃物となり、生活の場で使われることで、技と経験が積層され伝承された。総じて、伝統的鍛冶を基軸として構築されてきた資源循環型の地域の生活文化の再構築を目指すことが重要である。

  • 蓮見 孝
    セッションID: F-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は、日本酒振興に係る3つの事例を紹介しながら、衰退する農業などの地域産業と過疎化する地域の生活を「食農産業スキーム」でつなぐデザイン研究の推進を提案する。地域振興を個別の制度的アプローチで解決しようとするのではなく、“いきもの”である農業と生活の関わり合いに着目しながら、地域の実情に即した多様な“コトづくりデザイン”を生み出し、それらの事例を重ね合わせながら構造化することにより、生業と生活の“つじつま”が合う地域の未来を描き出したい。

  • 孟 晗, 高橋 真央, 土屋 篤生, 宮田 佳美, 王 建明, 青木 宏展, 植田 憲
    セッションID: F-04
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    本プロジェクトは千葉大学の学生とコミュニティ通貨の団体「蚕都くらぶ・ま〜ゆ」のメンバーとともに、ドキュメンタリーを企画・制作・上映するものである。現時点では、1年間の企画と撮影のプロセスを終え、以下の知見を得た。(1)映像で質的データを正確に記録し、それを構造化することには寄与できる。(2)複眼的にコミュニティの出来事を観察することができる。(3)映像記録から上映までの各プロセスにおいて,コミュニティの多様な資源を可能な限り取り入れる試みは,コミュニティ内外の人びととその資源を共有することができ、さらに,このコミュニティへの関心を喚起し,コミュニティの継続に寄与することが期待できる。

  • 宮田 佳美, 張 夏, 植田 憲
    セッションID: F-05
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    当該地域においては、竹紙づくりの際に仕事唄「竹麻号子」が歌われるなど、他地域に比べ特色のある手法が行われてきた。このようにつくられた竹紙を用いて、年画などが描かれ、それらを住居装飾として利用してきた。伝統的手法によってつくられる竹紙は、生産からその利用に至るまで、地域の生活を豊かにする存在であった。調査によって明らかとなった地域資源を、今後の地域づくりにどのように活用し、次世代に伝えていくかは大きな課題となる。

  • 禹 在勇, 小相澤 隆幸
    セッションID: F-06
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    長野県上田市は少量でも様々な農産物がとれる。それは市の特殊な地形や気候がもたらしたものである。近年、市は農産物を紹介するためにイベントを県内外で開催している。購入者とのコミュニケーションから農産物の背景や魅力(ストーリー)の重要性がわかった。また、市は日本酒の開発もサポートしている。市内には5つの蔵元があり、市内で栽培された酒米「山恵錦」を用いて、それぞれに日本酒を醸造したのである。それは同じ酒米からできているにもかかわらず、それぞれの風味があった。上田市はブランディングとしてその日本酒を全国にアピールする予定である。

  • 土屋 篤生, 植田 憲
    セッションID: F-07
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    南房総市千倉町白間津地域の伝統的祭礼「白間津大祭」は、少子化による担い手不足などの社会構造の変化により、さまざまな伝統の変更を余儀なくされている。

    ;白間津大祭は、出稼ぎ等で地域を離れることが多いなか、4年に一度集まり、幼児から高齢者まで全員が役割をもって参加することで、「地域の担い手であることを再確認・再認識する」ために大きな役割を果たしてきたといえよう。また、そのためには、大祭への参加者は柔軟に変更されても、大祭の担い手こそが地域の担い手であり続けることを最重視してきた。

    ;

    ;一方、今日では、過疎化が進む地域社会において、地域と長期的・継続的に関係を持つ地域外の人びとが地域の新たな担い手として求められている。地域への関わりのきっかけが少ない現状において、外部の人を受け入れ、共にハレの日の担い手として大祭を作り上げる役割を持つことで、地域社会との絆を深め、地域社会の一員となるきっかけとなることが期待される。

  • 山本 薫, 長谷川 敦士
    セッションID: G-01
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    VUCAと呼ばれる現代社会では、正解や成功パターンを見つけるのは困難なため、個人が仕事・やりたいことを、自らの内発的動機に基づいて見つけていく必要がある。しかし現状、教育の場において、この内発的動機を引き出すメソッドやツールは、まだ確立されていない。教育分野におけるこうした課題解決に活用できるのが、アート思考であると考える。アート思考の本質は、個人が心の中に持っている興味・関心、すなわち内発的な動機だからである。本論ではアート思考を教育的な視点で捉え、アート思考の根底にある内発的動機を身につけるための、具体的メソッドについて論じる。

  • 石井 成郎, 鈴木 裕利, 澤野 弘明
    セッションID: G-02
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    本研究の目的は、デジタルサイネージ導入のための評価指標を提案し、その有用性を実証的に検討することである。評価指標は「人」、「技術」、「コスト」、「時間」、「情報」、「地域」の6つの観点から構成される。本研究では、この評価指標に基づき、大学のキャンパス内に設置するデジタルサイネージの作成・評価・改善を行った。その結果、評価指標を用いることの有用性が確認されたが、その一方で使用用途によって重視すべき評価観点が異なることがあわせて示唆された。

  • 由田 徹, 解 英発, 趙 靖, 藪内 公美, 永井 由佳里
    セッションID: G-03
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    デザインの創造性において、暗黙知となりやすい感性に着目することで、デザイン評価やデザイン創造に役立てることに視点をおいている。

    ;空間における壁面の明るさが人の感性に及ぼす影響についてペーパー パーティション システムを事例にして研究した。

    ;実験協力者に対して空間の体験を行い、マグニチュード・エスティメーション法による評価実験を行った。評価指標には、このシステムに対する人の認知構造にもとずく感性評価指標を用いた。

    ;空間における壁面の明るさが人の感性にどの様な影響が及ぼすされるのかについて、その特徴が示された。

  • 平田 一郎, 後藤 泰徳
    セッションID: G-04
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    本稿は、「健康モデルによるスマートインタラクティブサービス」研究プロジェクトにおいて、サービスシステムインタラクション研究チームが開発したプロトタイプの日常行動アプリケーションの概要について報告する。本研究では、ひとりひとりの生活を豊かにし、将来の社会を豊かにすることを目指している。その方法として、生活者に最適な運動方法を提供するサービスを創出する。具体的には、クラウド上にユーザーのデジタルアバターを作成し、日常生活で計測した「ユーザーの運動情報」と、デジタルアバターが提供する「日常の運動シミュレーション結果」をもとに最適な運動サービスを提供する。また、職場で実施している健康診断と同時に実施することで、きめ細やかな運動サービスを提供することができる。このシステムは、デジタルアバターによる運動をクラウド上でシミュレーションし、分析結果やアドバイスをスマートフォンやスマートスピーカーに通知するものである。

  • 西野 涼子, 藪内 公美, 永井 由佳里
    セッションID: G-05
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    本稿は2017年からスタートした北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)が主催する“社会人向けデザインスクール”の2019年度の活動報告を通し、このスクールが聴講者の創造性の促進に寄与する可能性を考察する。本年度の特徴は、異なる分野の講師を複数名迎えるクロストーク形式“Cross・×・かける”を採用し、受講者の視点を多様にしたうえで互いに議論を交わす場を提供したことである。

  • 山岡 俊樹
    セッションID: G-06
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    制約条件に基づく発想法を既存のデザイン思考を比較して,提案した.デザイン思考は,現場にてインタビューや観察を行い,その経験からアイディアを練る.イメージが固まったら簡単なプロトタイプを作成し,異分野の人々とのコラボレーションを通じてアイディアを固める方法である.しかし,この方法は発想者の属性(知識量,センスなど)に依存する方法なので,誰でも行える方法ではない.

    ;一方,制約条件に基づく方法は,制約条件に基づく発想法は,枠組みという制約条件から絞り込んでゆく方法である.従って,使用者の属性(特に知識量,センス)にはデザイン思考より影響を受けず,システム系にも対応可能であるが,煩雑性を伴うので一考を要する.更に,独創性のある発想をする為には,制約条件の枠組みを厳密に決めて,誰でも枠組みから容易に発想ができるようにする必要がある.

    ;算数の問題を解く際,ある意味では,デザイン思考は鶴亀算であり,制約による発想は方程式であろう.

  • 山田 香織, 蛯名 星
    セッションID: G-07
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    近年,持続可能な社会の実現・および環境問題のへの対策のため,消費者自らが手を入れることで一つの製品を長く使う取り組みが様々な場面で見られるようになっている.その一つとして,製品の修理が専門的な作業者だけでなく消費者によっても行われるようになりつつある.本研究では,作業者の視点に注目して,製品を修理するための分解作業における,熟練作業者と非熟練作業者の視点特徴の違いを捉えることを試みている.

  • 町田 小織
    セッションID: G-08
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    創設者の物語をストーリーからナラティブにするためにはどうしたらいいのか。単なる知識としてではなく、創設者の人生を自分に引き付けて捉え、そこから自身のライフデザインについても考えるような授業をどうデザインしたらいいのか。それが筆者の問いである。そして、実際にデザインされ、実践された授業の効果を検証することが本研究の目的である。本研究の一部は2019年に日本ミュージアム・マネージメント学会にてポスター発表されたが、そこでは最も重要な授業内容そのものを報告できなかったので、本発表では授業がどのようにデザインされたのかに特化して報告したい。

  • 蘆澤 雄亮, 小山 慎一, 山澤 浩司
    セッションID: G-09
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    デザイン学において創造性は取り組むべき中心課題のひとつであり,長年にわたり世界中で様ーな研究が行われている.一方,不安が創造性に対してマイナスに働くことを示唆した研究や,天才と称される人物における片頭痛等の症例から天才の基礎条件として知覚過敏性を指摘した研究などを鑑みると,知覚敏感性と脳活動特性には何らか相関関係が生じるという仮説が成り立つ.そこで本研究では,知覚敏感性の違う2グループに対して非創造的思考タスクと創造的思考タスクを実施し,この時の前頭前野の脳活動をNIRS脳計測装置によって計測および比較した.この結果,創造的思考タスクの方が前頭前野は賦活しにくく,知覚敏感性の高いグループの方が賦活しにくいことを示唆する観測結果を得た.

  • 笠尾 敦司
    セッションID: G-10
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    中野区では小学校の併合、閉校が進んでいる。小学生の時期は、認知症の治療にも使われる回想法において重要な思い出が生まれる時期であると考えられている。そして、思い出はその場所に行くことで鮮明に思い出せるものなので、基本的に校舎は残すことが望ましい。閉校の前にその小学校の子供たちに校舎や教室が思い出深いものになるようにと考え、「ぶつぶつ動物ワークショップ」を実施した。このワークショップは単に思い出作りだけでなく、クリエイティブな発想のトレーニングにもなる様に企画した。その結果、好評を博した。ワークショップ後にこのワークショップが長く記憶に残るように「ぶつぶつ動物ゲームカード」も制作し3年生105名に配布した。

  • 前川 正実
    セッションID: G-11
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    本稿は不便益を生じる事物のデザイン方法についての考察である。まず,ユーザーの主目的だけでなく副目的を企画者やデザイナーが設定する必要性を指摘した。次に,副目的の達成過程で生じる益と,不便なものが利用される理由である「ドライバー」が生む益を定義した。最後に,これらの益の構造から2種類のデザインアプローチが考えられることを指摘した。

  • 川口 伽椰, 安齋 利典
    セッションID: G-12
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/27
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は、ストレス社会を解決するために、生活の中でストレスを解消する製品を提案することが目的である。植物と箱庭遊びの掛け合わせに注目した。植物と箱庭遊びのストレス緩和効果の差・箱庭遊びを行いながら植物の成長が与えるストレス緩和効果を検証するために2つの実験が行われた。その結果、植物を用いて箱庭遊びを行うことがストレスを緩和する可能性を示した。しかし、植物の成長が与える心理的効果については十分な結果が得られなかった。

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