日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
セッションID: I-01
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「分かりそう」という感情を生み出す視覚表現
*三上 隼人福田 大年
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抄録

グラフィックデザインの無数の表現方法の中でも、表現の抽象度の変化で作品の印象が変わることに関心を持ったことが本研究の発端である。単純な図形による視覚表現は、写実性が低く、受け手の解釈に委ねられる部分が大きい。受け手は、文化的・社会的・個人の背景から表現の解釈をする。その際に生じる「(あと少しで)分かりそう」という感情は、必要な要素を抜き出す過程で抽象度が高まった視覚表現と、理解するため記憶や経験と結び付けて答えを導き出そうとする受け手との間に生じる対話だと考えた。印象的で心地の良い視覚表現を発想する上で、前述の「対話を生じさせる」ようなグラフィックデザインが探求できる可能性がある。本研究では、筆者を含む札幌市立大学デザイン学部の学生が2019年12月17日から21日の間に開催した展覧会、「何卒よろしくお願いします展」にて筆者が出展した作品、《さばをよむ》を事例に、「分かりそう」という感情を想起させる視覚表現について考察する。そして、受け手がグラフィックデザインを解釈するとき、抽象度の変化や手法の違いによって、対話のかたちがどのように変わるのか考える。

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