本研究は、視覚的な表現をともなった対話のための手法に注目し、話をしながらあるいは聴きながら気軽に描く「落書き」という概念をもとに、そこで描かれた落書きを分析することで、視覚的な対話の活性化のための要因を分析し、「落書きコミュニケーション」としての手法を提案することを目的としている。動物園での展示を観覧した体験を共有し、それを紙芝居として発表するワークショップを題材に分析を行った。机の上に貼った模造紙に学生同士が話したことを図やキーワードとして描きながら、話し合いの内容を見える化しながら共有できるようにした。描かれた落書きを分析すると、画面内での図や文字の要素の配置は、描く位置や関係を示す記号などの使い方によって"イベント一覧型" "対話共有型"の2種類に分類できる。それぞれのグループで話し合われた内容や話題間の関係性、そして話し合いの進め方が落書きとしての配置の特徴として顕著に現れていることがわかった。