本研究は、障害者就労支援施設と連携をとりながら、障害者本人や、施設のスタッフに“デザインパートナー”になってもらい、彼らが得意とする手仕事のものづくりに加え、デジタルファブリケーションの技術を融合した製品開発をインクルーシブデザインの手法を使って行う研究である。研究協力を依頼した特定非営利活動法人ひょうたんカフェは、すでに手織りの織物を活用した日用品の製品開発と販売で実績のある施設であり、モノづくりへの関心とスキルも高く、手織物の評価も非常に高い。ただ、改めて観察調査を行うなかで、作業的にもいくつか問題があることや、織り以外の作業環境があると、より多くの利用者がモノ作りに参加できる可能性があることなども分かった。協議の結果、本研究では、レーザーカッター加工を前提に、平面素材のフェルトを活用した製品開発をテーマに設定した。今回の結果はあくまで一つの事例にしかならないが、デジタルファブリケーションがモノづくりの現場で着実に変化を起こしていることは確かであり、それも、画一的、合理的というような、近代の生産で謳われる言葉とは逆の可能性を多く含み、多様で包摂的な融通のききやすい生産体制を創れる点から、就労支援施設とも親和性が高いことが見出せた。