主催: 日本デザイン学会
会議名: 日本デザイン学会 第69回研究発表大会
回次: 69
開催地: オンライン
開催日: 2022/06/24 - 2022/06/26
本稿では、前稿によって得られたデータをもとに知的生産性の把握実験をおこない、執務空間において異なる植物の配置が知的生産性に及ぼす影響を明らかにする。 緑視率の選定実験で設定した緑視率を基準として、植物配置の異なる5つの空間において情報処理である四則演算作業をおこなった。四則演算作業では心理・生理反応および作業成績の測定をおこない、知的生産性への影響を把握した。 知的生産性の把握実験より、植物の配置において机や壁掛けの心理的評価が高いことが明らかになった。机においては、作業者から植物の距離が約1,000㎜と最も近い距離にあり、身近に植物の効果を感じられる影響によるものだと推察される。 執務空間に植物を置くことで、心理的な評価が高くなり、脈拍数は低下すると明らかになった。一方で、四則演算の回答時間は長くなると明らかになった。これらは、植物が人間に及ぼすリラックス効果によるものだと考えられる。そのため、植物は作業をおこなう執務空間への配置に比べ、作業間に休息をおこなうリラックス空間への配置が、より植物の効果を発揮すると示唆される。