主催: 日本デザイン学会
会議名: 日本デザイン学会第71回研究発表大会
回次: 71
開催地: 九州産業大学
開催日: 2024/06/21 - 2024/06/23
現代では、知りたいと思ったものをスマートフォンで調べると、すぐにその〈もの〉がどんな見た目で、どういう材料で作られているのかなどの物理的な情報を知ることができる。それは客体化された〈もの〉を客体化されたまま利用する生き方であり、そこには〈もの〉に向き合うことで生まれる「私」の経験がない。一方で、現場に赴いて歩き回り、見たり、話したりする体験は、〈もの〉が人々に囲まれて培ってきた価値や役割などの、目に見えない情報を知ることができる。
そこで、本研究では函館市、青森県、美唄市、滝川市を旅をして現場に滞在し、 そこで出会ったものや人、場所と、私自身を包括した経験を反映したリトルプレス 「まちまち」を制作する実践をおこなった。旅で経験したことや経験の最中の私の 心象は、ものの写真や出来事の文章のほかに、雑誌と旅で手に入れたレシートやチケットなどを組み合わせたコラージュによって表現する。
旅の中での「まちまち」の制作は、写真、文章、コラージュ、レシートを組み合わせることによって、見つけた〈もの〉だけでなく、目には見えない〈こと〉をビジュアル表現し、その時、その場所だけの経験を未来の私に伝えることができる活動であったことがわかった。その編集活動は、現場の中で「いま、ここにいる」私と、未来の私との間に通じる共通言語を探りながらかたちづくる行為であったということがわかった。