抄録
“世界で最も美しい蝶”と呼ばれるモルフォチョウの翅や、“空飛ぶ宝石”と呼ばれるカワセミの羽は、異名に違わず極めて美しい色彩を放つ。その美しさの秘密は、選択的な反射光の強め合いを原理とする構造色にある。これら生物と同様に構造色を発現した石がオパールであり、化学合成でオパールの模倣物を作ることができる。人工オパールの塊がアクセサリーなどに使われ販売されているが、我々は人工オパールの粒子を顔料として塗って使う研究に取り組んできた。 構造色の技術を有効に活用すれば、資源豊富で環境にやさしい素材で、通常の顔料にはないユニークな色彩を表現できる。SDGsが叫ばれ、また、製品のデザイン性が重視される時代の潮流に乗って、人工オパールが新たな顔料として使われていくと期待している。このような“色のイノベーション”に向けて、人工オパールの構造色で絵を描くことをテーマにした小学生向け科学教室を開催した。開催に向けた試行錯誤の中で、人工オパールの新しい形態での使用方法を生み出し、新時代の顔料としての利用可能性を広げた。