抄録
本発表は、戦時物価統制令により公布された「家具公定価格徴収」の基準を明らかにするために行われた桐箪笥の計測に関する報告である。調査は京都市伏見区にある宮崎木材工業京都工場において2024年8月1日、20日、9月13日の3回実施した。実測した桐箪笥は、四尺三ツ重ね三方桐、三尺三ツ重ね総桐、三尺型四方桐七抽斗である。宮崎(現:宮崎木材工業)は江戸末期指物師としてはじまった老舗であり、明治期には内国勧業博覧会への出品など、和家具創作の大手企業として現在も存続している。京都で白木の桐箪笥が作られるようになったのは、明治末期になってからであるが、昭和初期には箪笥製造の大手としてその地位を固めていった。戦争中、業界として公定価格に努力する事になる。商工省物価局価格形成専門委員を任されていた宮崎英治郎は、立場上、厳格に基準を守らなければならなかったと思われる。今回の宮崎木材工業での調査では、公定価格証明書が添付された桐箪笥が発見された。本発表では宮崎木材工業の公定価格での役割を明らかにすると同時に、箪笥の実測結果を報告し、公定価格表との比較を行いたい。