抄録
本稿では、儚さを喚起するための作品デザインとして、儚さにおいて重要であると考えられる要素の検討と、それらの要素を用いた作品展開をした後、鑑賞者による作品評価を通して行った考察について報告する。 本研究は、儚さを表現するための制作プロセス・儚さを表現した作品を提示することと、制作した“儚い“作品から、鑑賞者に儚さを喚起することができたかについて検証することを目的としている。 はじめに事前アンケートを実施し、儚さにおいて重要であると考えられる10の要素を抽出した。これらの要素をもとに、作品を制作・制作済みの作品には要素を当てはめ、評価のために5つの作品を用意した。鑑賞者評価アンケートの主成分分析の結果、作品に 懐古的でない・不安定な・制御不能・一度きり という要素を含む場合、儚さに関連した要素を評価した人が多い傾向にあった。また、インタビューからは「刹那的」「儚い」という印象を与えた可能性が示唆され、特に儚さを喚起したと評価された作品も確認された。