日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会第72回研究発表大会
セッションID: A6-05
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「デザインの授業」をデザインするための授業の試み
*坂川 侑希
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抄録

本研究では,ウェブアクセシビリティを実践する現場において,WCAGなどの基準に沿った対応が重視される一方で,ユーザー体験がどのような文脈で,どのように意味づけられているかが十分に考慮されていない現状に注目した.障害当事者が評価者かつ共創者として参加する「インクルーシブ・ウォークスルー調査」を通じて,評価・実装の過程におけるテクノエイブリズム的な構造を可視化し,ガイドラインへの適合と実体験のあいだに存在するギャップを明らかにした.たとえば,弱視や高齢の参加者はパッケージ画像内の情報を実店舗での判断材料として信頼しており,色覚特性のある参加者は色による意味づけを回避する傾向が見られた.これらの発話は,情報の有無ではなく,それがどのように使われ,価値づけられているかに着目する必要性を示している.本研究は,テクノエイブリズムを可視化する試みであると同時に,ウェブアクセシビリティを「基準を中心とした設計」から「経験に学ぶ設計」へと再定義する共創的アプローチの可能性を提示するものである.

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