主催: 日本デザイン学会
会議名: 日本デザイン学会第72回研究発表大会
回次: 72
開催地: 札幌市立大学
開催日: 2025/06/27 - 2025/06/29
本研究は、アクターネットワーク理論(ANT)を用いて、ソニーグループにおける企業理念の形成・浸透プロセスを分析した。ANTの視点から、理念を物質性を伴う「アクター」として捉え、多方向的な翻訳プロセスとして理解することで、従来の理念浸透研究では見落とされてきた多様なアクター間の相互作用を明らかにした。 ソニーの事例分析から、「感動(KANDO)」というキーワードが多様な事業領域を結びつける媒介物として機能し、従業員から収集された100以上の提案が翻訳プロセスを通じて理念に組み込まれた過程が確認された。また、理念が統合報告書や中期経営計画といった物質的実践に結びつくことで、ネットワークの安定化(不可逆性)が創出されていた。 本研究は、筆者の先行研究で示した中小企業の事例と比較し、組織規模によって異なるアクターネットワークの特性を示した。これにより、企業理念のデザインを多様なアクターの翻訳と媒介のプロセスのデザインとして捉え直す新たな視座をデザイン学に提供している。