主催: 日本デザイン学会
会議名: 日本デザイン学会第73回研究発表大会
回次: 73
開催地: 千葉工業大学 津田沼キャンパス
開催日: 2026/06/12 - 2026/06/14
本研究は、台湾の日常生活を浮世絵の美学に基づく新たな様式で再解釈するAR(拡張現実)インタラクティブ・アートシステム「福爾摩沙浮世繪」を提案する。浮世絵の造形原理――流麗な輪郭線、平面的な色彩構成、大胆なトリミング――を援用し、台湾の飲食・街並み・暮らしを描いた10点のオリジナル作品を制作した。美人画は現代台湾女性の化粧風景に、騎馬武士はバイクで都市を駆ける台湾人に、江戸の茶席は熱炒店の活気ある集いに翻案される。これは模倣ではなく、浮世絵の構図文法を尊重しつつ台湾の色彩と物語で満たす敬意ある翻訳である。技術面では木版刷りの工程に倣い「スキャン・分解・再構成」のARワークフローを設計した。利用者がモバイル端末で作品をスキャンすると画像認識により4~6層に分解され、物理作品が墨版、ARオーバーレイが色版として機能する。利用者は各層に自由に彩色でき、受動的鑑賞者から能動的共創者へと変容する。本研究は浮世絵を生きたデザイン言語として捉え、その美的哲学が文化的境界を超えて創造を促す可能性を示す。