主催: 日本デザイン学会
会議名: 日本デザイン学会第73回研究発表大会
回次: 73
開催地: 千葉工業大学 津田沼キャンパス
開催日: 2026/06/12 - 2026/06/14
本稿は、組織の価値創造サイクルにおける「翻訳」構造を提案することで、デュアルサイクルモデル(小田他, 2023)を発展させる。ストーリーワークショップの質的分析を通じて、①経営の意図を現場行動に翻訳する「方針の翻訳」、②専門知を受益者体験に翻訳する「価値の翻訳」、③同僚間で実践知を共有する「実践知の翻訳」、④現場の違和感を意思決定に届ける「現場知の翻訳」という4つの意味再構成プロセスを同定した。組織の成熟とともに①②が標準化されると③④が「非効率」として構造的に抑制され、その結果として①②への主体性も失われ、価値創造サイクル全体が機能不全に陥ることを見出した。最後に、デザインケイパビリティが各翻訳構造の回復にどのように寄与しうるかについて仮説を提示する。