主催: 日本デザイン学会
会議名: 日本デザイン学会第73回研究発表大会
回次: 73
開催地: 千葉工業大学 津田沼キャンパス
開催日: 2026/06/12 - 2026/06/14
本研究は、現代社会における人間関係の希薄化と孤立の進行を背景に、「旧友との再接続」を社会的資源として捉え、その行動を支援するデザインの有効性を検証したものである。成人期以降の新たな友人関係の構築が高コストである一方、過去に関係を持った旧友は低コストで心理的安定や自己肯定感の回復に寄与する可能性がある。しかし実際には、再接続を望みながらも行動に移せない人が多い。本研究では、記憶想起と自己内省を段階的に促すノート型プロトタイプ「I-NOTE」を設計し、行動変容ステージモデルや筆記開示法、ノスタルジアの知見を基盤として介入を行った。実験の結果、社会的自己効力感(PSSE)は有意に向上し、約23%の参加者が実際に旧友へ連絡する行動を示した。また、行動に至らない場合でも「いつでも再接続できる」という心理的準備性の向上が確認された。一方で、過去の想起による心理的負担も一部で報告され、倫理的配慮の重要性が示唆された。以上より、本研究は「過去の関係の再活性化」による孤独対策として、個人の自律性を尊重する「待つデザイン」の有効性を提示するものである。