デザイン学研究
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創生期におけるフォード2ドアセダンのモデルチェンジの考察 : 乗用車のモデルチェンジに関する研究(その1)
釜池 光夫
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1996 年 43 巻 2 号 p. 1-10

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抄録

本研究の目的は,乗用車のモデルチェンジが形成される過程を調査し,主にモデルの形態の変化の推移から,要因の概要について考察することにある。フォードの創生期(1903年〜1956年)の2ドアセダンのモデルチェンジの経過を文献で調べると,性能・構造の著しい改善が見られる。これら機能的な改善は外観の変化に深く関係を持っていることが解る。フォードと世界の乗用車のモデルチェンジの動向は近似しており,本論はモデルチェンジの全般動向の研究と考えることが出来る。この時代のフォードは11モデルあるが,「形態の類似性アンケート調査」で確認すると,他の形態と明確に区別されている5種の形態に分類が出来る。5種の側面画を直線に置き換えたプロポーション画は各グループの特長を表すイコン・アイコン(原型・象徴画)の一つと考えられる。プロポーション画を比較すると,その変化には方向性があり,その変動要因は機能的な改善が主に行なわれたことが解る。主要部品の大きさや配置・優先性が調整(パッケージング)された結果,連続的に変化したと思われる。モデルチェンジの意義はユーザーの生活に係わる走行性能や操縦性などの改善を図るため,モデルのプロポーションを変化させることと思われる。

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© 1996 日本デザイン学会
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