デザイン学研究
Online ISSN : 2186-5221
Print ISSN : 0910-8173
ISSN-L : 0910-8173
自動車フロントマスクデザイン認知の分析
原田 利宣森 典彦
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 45 巻 2 号 p. 11-16

詳細
抄録

今日, 自動車の銘柄数は国内だけで100を超えるようになったが, そのフロントマスクデザインはいくつかの系統のデザインに棲み分けされている。そこで, 本研究は, その棲み分けに影響を与える要因を究明することを目的としている。まず, Shepherdらのヒトの顔の認知に関する研究と同様なことを, 自動車のフロントマスクに対して行った。その結果, ヒトは自動車のフロントマスクをヒトの顔と同じようにとらえ, 輪郭(ボディのシルエット), 目(ヘッドランプ), 鼻(ラジエターグリル), 口(バンパーのエアインテーク形状)の順で注目度が高かった。また, ヒトが自動車のフロントマスクをみたとき, 犬系や猫系などの動物の顔をプロトタイプとして想起していることが推察され, それらプロトタイプの種類がデザインの棲み分けの一要因となっていることが推察された。さらに, ラフ集合理論により, 犬系, 猫系のプロトタイプを想起する要因となる形態要素の集合を抽出した。その集合は, 犬系, 猫系の顔の特徴を抽象化した形であることが推察された。

著者関連情報
© 1998 日本デザイン学会
前の記事 次の記事
feedback
Top