1998 年 45 巻 2 号 p. 25-34
本論は, 米国ロードアイランド・スクール・オブ・デザイン(RISD)グラフィックデザイン学科トーマス・オッカース教授の論文「Graphic Design Education-A Position Paper」を主とする諸資料, ならびに著者の同学科での授業体験をもとに, RISDグラフィックデザイン学科の教育理念について考察するものである。まず, 同学科の教育方針や教育内容およびカリキュラムの内容を読み解いていく。特に, 従来のデザイン教育に視覚言語の概念や情報理論・記号論を導入している点に着目し, その意義について考える。次に, 同学科デザイン教育の特徴を整理し, それらの内容から同学科の理念となっている考え方を考察する。そして, 最終的にはRISDグラフィックデザイン学科の教育理念の中に, 今後のヴィジュアルコミュニケーションデザイン教育の指標となりうる考え方を明らかにする。