デザイン学研究
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パブリックアート概念の整理 : 建設的なパブリックアート議論のために
秋葉 美知子
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1998 年 45 巻 4 号 p. 35-44

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抄録

「パブリックアート」という言葉が最近, 学究的にもジャーナリスティックにも広く使われるようになっている。しかし, その言葉が意味する内容は非常に広範に渡り, パブリックアートの概念はいまだ確立されているとは言い難い。またそれがこの分野における批評・研究の蓄積を阻害していると思われる。本論は, パブリックアートのさまざまな解釈を, 「パブリック」と「アート」のとらえ方, パブリックアートを存在させる主体のとらえ方, 存在の意味づけ, という4論点から整理した。さらに現在パブリックアートの呼称で語られている事例を収集・分析し, パブリックアートを(1)公共空間で創造されるアート, (2)公共空間に挿入されたアート, (3)建築と一体化したアート, (4)市民と一体化したアート, (5)公共空間におけるアート・イベント, (6)公共空間に存在する芸術的造形物の6タイプに分類, パブリックアート概念の多様性を示すとともに, 今後の建設的議論に向けて, 概念確立の必要性を示唆した。

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© 1998 日本デザイン学会
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