デザイン学研究
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高齢者の生きがいデザインに関する研究 : 行政による生きがい対策の分析
粂川 美紀堀田 明裕
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2006 年 53 巻 1 号 p. 29-36

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抄録

本研究は、行政による高齢者の生きがい対策の具体的内容を調査し、高齢者の精神的多様性の視点から考察して、生きがいデザインの今後の方向を検討することを目的とした。文献調査の結果、1960年代に始まった国の生きがい対策は、現在では高齢者が実際に望む生きがいと乖離していることが示唆された。対策の不足部分を把握するために、82の地方自治体の生きがい対策を目的と内容との関係で調査し、クロス集計および数量化3類等で分析を行った。その結果、多くの自治体では老人クラブ等による生きがい支援が中心で、自由を好み、個人的行動を基本とする生きがいへの対応が不足していた。高齢者の生きがいデザインの今後の方向として、高齢者の価値観の多様性へ対応する必要があること、そのために高齢者の潜在的要求を抽出する手法を検討する必要があることが考えられた。

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© 2006 日本デザイン学会
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