抄録
我々は過去の関連研究において、文様デザインに対する鑑賞者の認知構造をレイヤーという言葉で表現し、5種類に分類した。解析的手法により、5種類のレイヤー間の関係や性質の違いを明らかにすることを本研究の目的とする。文様に対する評価値と画像特徴値を用いて、正準相関分析を行った。解析の結果得られた2つの軸を解釈し、1軸を統計的評価軸、2軸を構造的評価軸と名付けた。2つの軸は、全体のニュアンスの視覚と形態的特徴の視覚に対応していると考察された。解析結果の順位から、全体的ニュアンスの視覚が喚起されやすいと考えられた。明暗レイヤーは白い部分の全体的配置、テクスチャレイヤーは全体の分布、構造レイヤーは配列規則、運動レイヤーは要素の移動による連続的な印象、ディテールレイヤーは要素の目立ちやすさであることなどが明らかになった。