2007 年 54 巻 1 号 p. 49-58
今日の携帯音響機器のデザイン評価構造を明らかにするために、市販ポータブルMD製品を対象に調査分析を行い、その評価構造を定量的に求めた。具体的には、人間の評価における上位の態度からイメージを経由する認知までの階層構造において、上位の態度から中位のイメージへの関係分析を重回帰分析で行い、態度に強く寄与する3つのイメージを抽出した。中位のイメージから下位の認知部位への関係分析をラフ集合と決定ルール分析法で行った。評価用語(態度とイメージ、認知部位)の抽出には評価グリッド法を用いた。これら得られた態度と各イメージに対して、5段階SD尺度で29種製品サンプルを評価した。このラフ集合の計算過程において、決定クラスの絞込み方法についての新提案も行った。これらの分析により、デザイン評価構造が定量的に求められた。さらに、現場デザイナーによる確認実験とデザイン案の再評価の結果、この評価構造の設計知識としての有効性と改良点についても確認した。