2007 年 54 巻 3 号 p. 9-18
よく知られた伝統的なカラーオーダーシステムの一つであるオストワルトシステムは一般に混色系として分類されている。しかし本稿では、対数変換によって明るさ尺度の等歩度性(知覚的均等性)を獲得していることからオストワルトシステムは混色系と顕色系の両側面を兼ね備えたカラーシステムであると考えた。そして、CG生まれのカラーシステムの1つであるHSVカラーモデルを混色系と見なし、オストワルトシステムとの関連性を究明した。混色系の表色値としてRGB値が測色的に定義されているとき、HSVカラーモデルのSパラメータとVパラメータがそれぞれ対数変換前の混色的なオストワルト等色相三角形における純度、鮮明度に対応することを明らかにし、色ベクトル空間に展開されたHSVカラーモデルの等色相三角形は対数変換前の混色的なオストワルト等色相三角形と構造的に一致することを示した。