2007 年 54 巻 3 号 p. 19-28
デジタルメディアによる色情報の正確なコミュニケーションに役立てることを目指し、オストワルトカラーシステムの延長線上にその精神を引き継いだ新たなオストワルト型カラーシステム--Hcw表色系--を提案した。心理物理的な色空間から知覚的な色空間への変換として、オストワルトの対数関数に替えてカラーCRTディスプレイの発色特性を考慮したパワー関数を組み込んだ。オストワルトシステムと同様に、変換後の知覚的な空間における色立体としてダブルコーン表現を採用した。心理物理的な空間の三角座標を変換後の知覚的な空間に持ち込んだことによるオストワルトシステムの難点--等白系列と等黒系列ではそれぞれ白色量Wと黒色量Kが一定であるのに対し等純系列では純色量Cが一定とならないこと--は、変換後の等色相三角形自身の三角座標をモデルのパラメータとしたことで解消された。さらに提案モデルの等色相三角形は知覚的均等性の点においてもオストワルトシステムより優れていることを明らかにした。