2009 年 55 巻 5 号 p. 5_47-5_54
本研究の目的は、デジタルテレビの新機能の使用を動機づける要因の同定である。本研究では、使用を動機づける要因を「キッカー(Kicker)」と名づけた。有効なキッカーを同定するために、デジタルテレビユーザーの長期の行動観察を行なった。具体的には、赤外線センサーを利用した操作ログ取得、インタビュー分析、教示実験である。
その結果、9個のキッカーを同定し、使用を動機づける行動プロセスモデルを提案した。ユーザーがある機能を使い始めるためには、複数のキッカーの働きによって、<興味を持つ>、次いで<理解する>状態になることが必要である。しかしそれだけでは充分ではなく、今一歩<踏み切る>キッカーが必要な場合もあることがわかった。その後、量的調査によって、同定したキッカーのうち初期使用に関するものの妥当性を検証した。