デザイン学研究
Online ISSN : 2186-5221
Print ISSN : 0910-8173
ISSN-L : 0910-8173
美しく接続された視覚言語を用いたラフスケッチの清書化
原田 利宣河野 正之
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 55 巻 5 号 p. 5_55-5_64

詳細
抄録

 現在,工業製品の形状設計に使用する曲線を創成する際,まず,デザイナが描いたスケッチ上の曲線をコンピュータに入力する.次にそれらをCAD上でスブライン曲線などで近似し,さらに曲率変化を補正して,図面に利用可能な美しい曲線を創成する.しかし,現状ではその一連の作業を効率化するシステムはほとんど提案されていない.
 そこで,本研究ではデザイナが描いたスケッチから,補正された曲線と同程度の美しい曲線を創成するシステムの開発を目的とした.具体的には,まずデザイナが描いた重なった曲線をひとつの図として認識させ,その濃淡の中央線を求める.次に求まった濃淡中央線を曲率単調曲線に分割し,それぞれの曲線の性質を分析し,視覚言語に置換する.さらに,それら視覚言語を元の位置に再配置し,一般的数学曲線の分析を通して得られた知見を利用して,視覚言語間を美しく接続する接続曲線の創成を行った.その結果,現状よりも効率よくスケッチから美しく図面へ適用可能な曲線を創成できる可能性が示された.

著者関連情報
© 2009 日本デザイン学会
前の記事 次の記事
feedback
Top