デザイン学研究
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FASEモデルにおけるシミュレーション思考の特性評価 : デザイン思考のクリエイティビティ(2)
蘆澤 雄亮森行 浩人小野 健太渡辺 誠
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2009 年 56 巻 3 号 p. 71-80

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抄録

本稿ではデザイン行為の思考モデルであるFASEモデルをさらに掘り下げ、デザイン思考の仕組みについて認知科学の観点から考察を行なった。その結果、FASEモデルにおいて最も特徴的な思考プロセスは外的刺激を伴わずとも行なうことができるSimulationであり、その仕組みはソマティック・マーカー仮説による「あたかもループ」に類似していることがわかった。また、あたかもループを神経科学的な観点から考察した結果、あたかもループは「情報の統合と予測」と「情動情報の変換」が重要なファクターとなり、言語機能を直接介さないことがわかった。そして、これらの理論の整合性を確認するために異なる思考パターンを用いた2つの思考実験を行った結果、デザイナーはそれ以外の被験者と比較して言語機能を直接介さない思考方法に関して有利であることがわかった。

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© 2009 日本デザイン学会
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