2015 年 62 巻 2 号 p. 2_17-2_24
高齢者施設において健常な高齢者が行う介護ボランティアは,介護スタッフ不足問題の解決策の一つと考えられ,導入が検討されるべきである。そこで,スタッフ及び介護ボランティアが行う介護の種類や介護行為数,介護の場所などを通して介護の割合や介護活動の違いを探り,介護ボランティア導入による介護の効果を明らかにすることを目的とするマッピング調査を行った。その結果,以下のことが明らかとなった。①介護ボランティアが加わることで生活援助の割合が増加した。②介護は主に共用スペースで行われていた。③介護ボランティアはスタッフに比べてじっくり滞留しながら介護を行っていた。④介護ボランティアはスタッフの活動が少なくなる時間帯に、補完的に活動していた。このように,介護ボランティア導入による介護が,介護ボランティア自身が介護の専門家ではなく,その活動に疑問があったにもかかわらず,介護に効果があることをある程度示すことができた。