デザイン学研究
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単色の観察時と再認時の印象の変化
-色記憶を利用するカラーデザインに向けて
三宅 宏明長 篤志松田 憲木下 武志
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2015 年 62 巻 4 号 p. 4_1-4_10

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抄録

 色は記憶の中で変化することが知られている。その記憶の変化に伴う色の印象の変化に関する知見があれば、そのことをカラーデザインに利用できると考えられる。そこで、本研究では色の再認実験を行い、呈示した時と再認した時の色の印象に違いがあるかを調べた。そして、再認による色の移行と、印象の変化との関連について調べた。実験の結果、色の移行が起きた色において、記憶した色と再認した色の印象に変化が見られる色と、見られない色の両方が確認できた。特に、マゼンタ系や黄系の色は印象の変化が見られ、青系の色は変化が見られない傾向が見られた。記憶した色と再認した色の色差の大きさは、印象の変化との関連性が見られなかった。また、同じ色においても一緒に記憶した色の組み合わせによって印象に変化が見られたり、見られなかったりした。これらの要因としては、色の記憶のしやすさや、記憶内での色の対比が影響している可能性が考えられる。

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© 2015 日本デザイン学会
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