2015 年 62 巻 4 号 p. 4_51-4_60
色記憶を考慮したカラーデザインを可能にするためには、まず各色が色記憶においてどのように移行するのかを知る必要がある。これまでに色記憶の移行に関する平均値データが報告されているが、個人差が大きければその平均値はカラーデザインに使用できない。また色記憶のデータとしてすべての色を調べることはできないという問題点もある。本研究では、どのような色は平均値データをカラーデザインに用いることができるか、どのような色は平均値データの間を色空間中で補間してカラーデザインに用いることができるか、についての知見を得ることを目的とした。そこで、フォーカル色の再生実験と色記憶の再生実験、カテゴリカルネーミング実験を行った。その結果、参加者が共通した色カテゴリーに認識している色は、平均値データをカラーデザインへ利用できる可能性があり、色空間中で近い位置関係にあるデータから補間できる可能性があった。一方、色カテゴリーの認識が参加者に依存する色の結果は、3種類の傾向に分かれることがわかった。