2017 年 64 巻 2 号 p. 2_47-2_54
出産・育児分野では医療情報基盤の整備と合わせ,スマートフォンを活用した母子の自律的な健康管理と健康意識の改善が待望されている。自治体等ステークホルダーとも連携することで,サステナビリティを備えた有効な支援の確立を目指しているが,このような参加型医療が実現するためには,まず数多くの母子が主体的かつ持続的にスマートフォンアプリを利活用する必要がある。このようなユーザー側の自律性の課題に対しては,適正なインタラクション開発が鍵であるが,健康データや胎児の写真をインターネット環境で管理することに不安を抱くユーザーも多く,固有の事情を踏まえたインタラクション開発が重要である。そこで本稿では,母子手帳機能を有する2つのスマートフォンアプリの分析・評価を行い,ユーザーの自律性を喚起するデザイン要素の抽出を行った。結果,画像や音などを駆使した五感に訴求するデザイン要素の他、共有機能によりコミュニケーション価値を高めるプラットフォームデザイン要素が,ユーザーの自律性を高めている可能性として示唆された。