2018 年 65 巻 2 号 p. 2_51-2_56
筆者等は,デザインにおける人間の創造的思考に対する技術の役割に注目している.技術の手助けを受けることで人間の思考空間が広がり,その結果,人間がそれまでに自分が持ち合わせていなかったアイデアに気づく,ないし,人間の能力が高まると考えられる.本研究では,幾何模様に焦点をしぼり計算機の手助けを受けることで,複雑度が高いために人が容易には頭の中で作り出せないが,本人が興味を抱く形状を生成する可能性を探る.そのため,計算機上に一旦制作された形状のパラメータを複雑化する方向に操作して外挿することで,新たな形状をつくることを試みる.実験の結果から,自ら制作したものと同程度に興味を惹かれるものの,自らの力では頭の中でイメージできなかった幾何模様が本手法により新しく生成されたことが確認された.