デザイン学研究
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アルヴァ・アアルトの曲げ木によるキャンチレバーチェア及びパイミオチェアの造形特徴
~ マルセル・ブロイヤーの椅子との比較による支持フレーム及び座・背面の形態分析~
吉村 祐樹小泉 隆
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2021 年 67 巻 4 号 p. 4_17-4_24

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抄録

 本研究では、建築家アルヴァ・アアルト(1898-1976 年) がデザインした曲げ木によるキャンチレバーチェア(1932 年)及びパイミオチェア(1932 年)の造形特徴の一端を浮き彫りにすることを目的とし、相互に影響関係が指摘されるマルセル・ブロイヤー(1902-1981 年)の椅子とアアルトの椅子の比較分析を、主として支持フレーム及び座・背面の形態に着目して行った。
 まず支持フレームとその材料に着目して、両者の椅子の通時的な分析を行い、アアルトの両椅子がデザインされるまでの過程を、先行してデザインされたブロイヤーのスチールパイプ椅子との類似点を捉えながら示した。一方、ブロイヤーの木製椅子に関しては、先行するアアルトの木製椅子との類似点を示した。次に、アアルトとブロイヤーの椅子の座・背面の形態に関する比較分析をおこなった。そして、両分析より得たアアルトの椅子の支持フレーム及び座・背面の形態特徴を、その他の類似する椅子などを示しながら考察を行い、アアルトの椅子の独自性のある部分などを示した。

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© 2021 日本デザイン学会
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