デザイン学研究
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塩味と甘味の味覚評価に及ぼすプレート材質の影響
蔡 宛蓁佐藤 浩一郎寺内 文雄
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2022 年 68 巻 3 号 p. 3_73-3_80

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抄録

 本研究では,食塩や糖分の過剰摂取の問題に着目し,プレートによって,食品の食塩や糖分の摂取量を抑えることを試みた。そこで,単一金属製のプレートと異なる種類のフィラーを用いてテクスチャ,色などを変えた磁器製プレートを作製し,塩味や甘味の味覚評価の対応関係について検討を行った。まず異なる材料からなる15種類のプレートを作製し,それらの外観や手触りの印象評価実験を行った。そして得られた結果に基づき,8種類のプレートを選定し,塩味や甘味の強弱を比較する味覚評価実験を実施した。その結果,プレートの材質の違いによって,連想される印象や味覚が異なること,塩味や甘味の評価の強弱が異なることが確認できた。特に,2種類の金属製プレートや竹繊維,シャモットや漆喰紙を混ぜて焼成したプレートは対照としたプレートより塩味を強く感じることが明らかになった。また珪藻土を混ぜて焼成したプレートは対照プレートより甘味を強く感じることが判明した。これらにより,プレート材質の違いが塩味や甘味の評価に影響を与えることが明らかとなり,プレートによって塩分や糖分の摂取量を抑えることができる可能性が示された。

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© 2022 日本デザイン学会
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