情報の科学と技術
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特集:デジタル時代の著作権
特集:「デジタル時代の著作権」の編集にあたって
中川 紗央里
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2022 年 72 巻 3 号 p. 81

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抄録

今日,デジタル化の進展や,コロナ禍における図書館の休館等の影響を受け,インターネット上で流通する著作物としてのコンテンツのニーズはますます高まっており,それらデジタル情報資源の作成や活用をより円滑に行えるよう,法整備や制度設計が進められています。本特集では,「デジタル時代の著作権」と題し,デジタル情報資源の作成・提供・活用における権利を巡る諸課題について,最近の動向を幅広く取り上げています。

まず,福林靖博氏(国立国会図書館)に,図書館関係の権利制限規定(法第31条)のうち特に個人送信(法第31条第3項)について,令和3年著作権法改正の内容について解説するともに,国立国会図書館における個人送信サービスの検討状況について紹介いただきました。続いて,徳原直子氏(国立国会図書館)に,柔軟な権利制限規定(法第30条の4,第47条の4,第47条の5等関係)について解説した上で,デジタル化資料(画像)のOCRテキスト化,テキスト化データを用いた所在検索サービス,データセットの提供等,データの活用事例を紹介いただきました。

次に少し視点を変えて,出井甫氏(骨董通り法律事務所)には,昨今注目されている一般ユーザによって作成されたコンテンツ(User Generated Content,UGC)について,著作権法との関係と,創作及び利用にともなう課題,政府における利活用促進のための取組みに焦点を当てて解説いただきました。最後に,水野祐氏(シティライツ法律事務所)には,著作物の利活用を促進するための取組みとして,著作権に関する意思表示・権利状態表記ツールについて,クリエイティブ・コモンズ,Rights Statements等を例に挙げて解説いただきました。

本特集が,デジタル情報資源を発信・提供する側,利用する側の両面で,インフォプロの皆様の御参考になれば幸いです。

(会誌編集担当委員:中川紗央里(主査),青野正太,安達修介,炭山宜也)

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