2022 年 69 巻 2 号 p. 2_41-2_50
本研究では、九州7 県の伝統工芸産地事業者を対象とした質問紙調査を通じ、伝統工芸産地における社会課題解決に向けた取組みの現状把握を行った。さらに産地の基本属性や経営状況との関連性に注目し、クロス集計を用いた分析を行うことで、単純集計からは見いだせない関係性を抽出することができた。
特に、女性の活躍促進等を従業員に呼び掛けている事業者は、「経常利益が横ばいかあるいは増加している」等のポジティブな要素との関連が見出された。分析を通じて、社会課題解決に向けた様々な取組みが、伝統工芸産地の存続という課題に対して有効であることが示唆された。
今後、実際の取組みに関する調査を通じて、伝統工芸産地の課題解決に向けた実効性に結び付く要素の抽出と検討が必要であると考える。