デザイン学研究
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表情の異なる「顔ジャンケン」プログラムの心理評価
―嚥下機能と認知機能の維持向上および心理的効果が期待できるリハビリテーションプログラム開発のための基礎研究
吉岡 聖美
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2023 年 70 巻 2 号 p. 2_47-2_54

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抄録

 嚥下訓練に含まれる口・頬の運動と発声とを,口腔顔面運動による後出し顔ジャンケンに取り入れた「顔ジャンケン」プログラムを考案した。タブレット端末や PC を用いて,手軽に,嚥下機能および認知機能の維持向上に働きかけるリハビリテーションプログラムを実行することができる。更に,気分が改善する心理的効果が期待できるプログラムを開発するために,表情の異なる「顔ジャンケン」プログラムを実施した際の心理評価について調査した。POMS 短縮版および TDMS-ST による評価の結果,「顔ジャンケン」プログラムを実施することによって気分が改善する心理的効果を確認した。認知機能の維持向上を目的とする取り組みの実践例で使用されている「チョキ」の表情で舌を出すプログラムでは,「抑うつ-落ち込み」および「覚醒度」の気分に関わる有意な改善が認められず,「チョキ」の表情で口を左右に伸ばし口角を上げて笑った顔になるプログラムが有効であると考えられる結果が得られた。

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