デザイン学研究
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地域を表すメディア・プラクティスの可能性
─「考えるカメラ」ワークショップについて
楊 心苡
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2025 年 71 巻 4 号 p. 4_31-4_40

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抄録

本研究の目的は、地域において新しい発見を促す「考えるカメラ」ワークショップ(以下「考えるカメラ」WS)をメディア・プラクティスとして捉え、考察することを通じて、地域を表すメディア・プラクティスの観点を提示することである。地域を見直すための個人視点の重要性を考慮し、「考えるカメラ」WS は、個人視点を表す写真表現に重点を置き、ビジュアル・エスノグラフィーの手法を参考した、地域において新しい発見をするためのビジュアル手法である。筆者はかつて、市ヶ谷での実践を通じて、地域における新たな発見を促すことの有効性を考察したが、写真を通じて表現された個人の視点に関する検討は足りなかった。地域性を考察する際、場所をどのように認識しているかについて考慮することが必要である。そのため、本稿では、「考えるカメラ」WS における背景・デザイン・実施したワークショップを紹介し、メディア・プラクティスの側面から「考えるカメラ」WS を考察して、写真で地域を表現する行為を模索した。この考察を踏まえて、「考えるカメラ」WS のコンテキストモデルを再考し、これからの地域デザインとまちづくりに向けて、地域を表すメディア・プラクティスという新しい観点の可能性を提示した。

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