p. 309-311
日本は、戦後、一貫した教育により世界一高学歴国家となった。『氷が溶けたら何になるか』との質問に対して『水になる』という画一化された解答は全員がいえる。しかし、一方では物が溢れ、飽食の時代の渦中にあり、従来の画一化された教育的観点および環境からは、物を中心の打算的価値観が中心となり、『春がくる』と言える個性的で感性の高い人材は生まれないように思われる。大変革を余儀なくされている産業界にとっても、国家百年の計としても重要課題である。従来の固定概念の延長では解決できない大きな社会変革の渦中にあるといえる。しかし、資源のない日本の発展の原動力は、やはり独創的な教育の基盤にたった国家活動および企業活動に起因し、新しい国際社会の秩序の中で、全く新しい高付加価値社会の形成へと転換せざるをえない。サテライト研究所方式を世界に先駆けて実施し、世界に通用する高付加価値製品を基盤にして国際化を進めている一企業が、どのような仕組みで21世紀に挑戦しようとしているのか、そしてどのような人材を必要としているか、如何にして個性および独創性を重要視して能力開発を進めようとして実験をしているのかを紹介し、今回の一提言としたい。