抄録
最近、理科の授業が、児童・生徒から敬遠されがちであるが、これは、教材が理論的で観察・実験が少なくなっているためと思われる.身近な情報とかけ離れてしまい、事象が見えなくなっていることに一因があろう.シャルルの法則は、エネルギーの保存や気体の性質を扱う場合において、物理・化学における最も重要な法則の一つである.しかし、従来の検証方法は、検証器具が大型になる、測定誤差が大きいなどからどの教材においても検証実験がとりあげられていない。温度変化に伴う気体の体積変化は、見えない理科、覚える理科の典型的な例となっている。そこで身近な素材である食器用洗剤の膜を用いて、目で観察しながら、簡便に理論値に近い値を得る方法を試みた。装置は、ビュレット、メスフラスコ、ホッティングスターラー、熱帯魚用循環ポンプ等実験室にある器具で組み立てられる。短時間で比較的安定したデータが得られるので報告する。