抄録
本研究は, 生態学的な見方・考え方に基づく「生物の多様性やつながり」の認識とその変容要因に着目し, 児童調査を行った。その結果, 次の4点が明らかになった。①採集経験が生態を意識した飼育活動に影響する。②ほとんどの児童は, 「生物の大切さ」を「生物の多様性」より「個々の生き物に対する印象」で判断していることから, すべての生物は等しく大切であるとする「生物の多様性」を認識しにくい。③「生物のつながり」の認識は, 「住」, 「食」, 「形態の類似」についての指摘が多く, 「呼吸」, 「分解」についての指摘は少ない。④「生物のつながり」の認識は「生物の種差」や「児童の性差」によって異なる。