抄録
本稿の目的は、フロイデンタールの数学教授学における「思考実験」の概念を確認し、その意義を明らかにすることである。そこで、フロイデンタールの文献に見られる「思考実験」に関する記述に着目した。「思考実験」とは、フロイデンタールがポリアの著作に見いだしたものであり、マッハの思考実験を教授学へと適用した、教授に先立ってなされる教授に関する思考上の実験である。「思考実験」の意義として、第1に、教授原理「追発明」や「追発明の方法」に基づく教授学習の具体化に寄与すること、第2に、教授者の授業構想力を高める指針になること、第3に、科学としての数学教育学の構築に向けた基本的な方法一つとなることが明らかになった。